2026年10月6日に放送されたNHK「クローズアップ現代」で、「身寄りがないとお断り!?単身者の医療がピンチ」という問題が取り上げられ、大きな注目を集めました。
番組では、頼れる家族や親族がいない人が、入院や手術をめぐって困難に直面するケースが紹介されています。
「自分は独身だけど、もし突然入院することになったらどうなるの?」
「身元保証人になってくれる人がいないと、本当に病院から断られるの?」
こうした不安を感じた人も多いのではないでしょうか。
先に最も重要な結論をお伝えすると、身元保証人がいないという理由だけで、必要な入院を拒否してよいわけではありません。
厚生労働省は、入院治療が必要であるにもかかわらず、身元保証人等がいないこと「のみ」を理由に入院を拒否することは、医師法第19条第1項に抵触すると通知しています。
一方で、現実の医療現場では、入院費の支払い、緊急時の連絡、退院後の生活、患者本人が意思表示できなくなった場合の対応など、これまで家族が担ってきた多くの役割があります。
つまり問題の本質は、単純に「保証人がいるか、いないか」ではありません。
これまで家族に任せていた仕事を、家族がいない社会で誰が担うのか。
ここに、日本の医療制度が直面している大きな課題があります。
この記事では、「身寄りがないと本当に入院できないのか」という疑問から、手術の同意、成年後見制度、身元保証サービス、病院に断られそうになった場合の対処法、そして一人暮らしの人が今からできる備えまで詳しく解説します。
- 身寄りがないと入院できない?まず知っておきたい結論
- なぜ病院は身元保証人を求めるのか?
- 身寄りがなくても手術は受けられる?「家族の同意」の本当の意味
- なぜ今「身寄りのない患者」が大問題になっているのか?
- SNSでも「自分はどうなる?」の声・番組が突きつけた不安
- 身寄りがない人が最初に相談したい「医療ソーシャルワーカー」とは?
- 身元保証人がいない人が使える「終身サポート」とは?
- 一人暮らし・独身者が元気なうちにやっておきたい7つの準備
- 「保証人がいないと入院できません」と言われたらどうする?
- 成年後見制度だけでは全部解決しない理由
- 関連YouTube動画で身元保証問題をさらに理解する
- 「クローズアップ現代」が示した本当の問題は“家族ありき”の医療
- 身寄りのない人の入院についてよくある質問
- まとめ|「身寄りがない=医療を受けられない」ではない
身寄りがないと入院できない?まず知っておきたい結論
結論から言えば、「身寄りがない=入院できない」というルールはありません。
厚生労働省は2018年、「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」という通知を出しています。
そこでは、入院による治療が必要な患者について、身元保証人等がいないという理由だけで医師が入院を拒否することは、医師法第19条第1項に抵触すると明確にされています。
そのため、テレビ番組などで「9割超の病院等が身元保証人を求めている」という数字を見て、「保証人がいなければ9割の病院で入院できない」と考えるのは正確ではありません。
総務省関東管区行政評価局が行った調査では、回答した病院・施設の92.4%が身元保証人等を求めていました。
しかし、身元保証人を用意できない場合については、「必要になる場面ごとに個別に対応する」と答えた病院・施設が全体の約6割を占めています。
一方、「入院・入所をお断りする」と答えた病院は28か所、割合では5.9%でした。
つまり、「保証人を求めている病院が多いこと」と「保証人がいない患者を実際に拒否すること」は分けて考える必要があります。
厚生労働省も、身寄りのない患者に必要な医療を提供できるよう、医療機関向けのガイドラインや事例集を公開しています。
保証人がいないと入院できない?

まず覚えておきたいのは、「家族がいない自分は医療を受けられない」と最初から諦める必要はないということです。
関連記事として、実際に保証人を求められた場合の対応をさらに詳しく知りたい方は、以下も参考にしてください。
関連記事:身元保証人がいないと入院できない?病院に求められたときの対処法
なぜ病院は身元保証人を求めるのか?
では、なぜこれほど多くの病院や施設で身元保証人が求められているのでしょうか。
理由を理解するには、日本の医療が長年、患者本人だけでなく「患者を支える家族」の存在を事実上前提としてきたことを知る必要があります。
入院すると、医師や看護師による治療以外にも数多くの作業が発生します。
例えば、入院時の手続き、必要な衣類や日用品の準備、医療費の支払い、容体が急変した際の連絡、退院先の調整などです。
さらに患者が自分で判断できない状態になれば、「本人が以前どのような治療を希望していたのか」という情報を確認する必要も出てきます。
亡くなった場合には、遺体や遺品をどうするのかという問題まで生じます。
これまでは、こうした医療以外の仕事の多くを配偶者や子どもなどが担ってきました。
そのため病院側から見ると、身元保証人という一人の存在に、実際には複数の役割がまとめて期待されている場合があります。
| 病院側で問題になりやすい場面 | 従来、家族などが担ってきた役割 |
|---|---|
| 入院手続き | 書類記入・連絡 |
| 入院費 | 支払いや債務への対応 |
| 急変時 | 緊急連絡 |
| 入院生活 | 衣類・日用品などの準備 |
| 治療方針 | 本人の希望を知るための情報提供 |
| 退院時 | 自宅・施設・転院先との調整 |
| 死亡時 | 遺体・遺品・葬送などへの対応 |
ここで重要なのは、これらすべてが必ず「一人の保証人」でなければならないとは限らないことです。
例えば、費用については本人の預貯金や制度を確認し、退院支援は医療ソーシャルワーカーが関係機関と調整し、日常生活については福祉サービスを使うというように、役割を分けて対応できるケースがあります。
厚生労働省がガイドラインを整備しているのも、「保証人がいないから終わり」ではなく、その人が具体的に何を必要としているのかを分解して対応するためです。
病院側にも患者側にも負担が大きい問題だからこそ、「病院が悪い」「独身者が悪い」という話にしてしまうと解決から遠ざかります。
身寄りがなくても手術は受けられる?「家族の同意」の本当の意味
「入院より手術の方が心配」という人も多いでしょう。
特に気になるのが、「家族のサインがないと手術ができないのでは?」という問題です。
ここでも大原則は、医療を受ける本人の意思が中心になるということです。
本人に十分な判断能力があり、医師から治療内容、期待できる効果、リスク、代替手段などについて説明を受け、自分で判断できるのであれば、本人の意思確認が基本です。
厚生労働省のガイドラインでも、判断能力が十分な場合には、まず本人の意思決定・意向を確認することが重要とされています。
難しくなるのは、意識障害や重度の認知症などによって本人の意思を確認できない場合です。
家族などがいれば、本人が過去に話していた希望や価値観を知る手掛かりになることがあります。
しかし身寄りがなければ、それを確認できる人がいません。
だからこそ医療・ケアチームが本人にとっての最善を慎重に検討する必要が出てきます。
ここでよくある誤解が、「成年後見人を付ければ、手術の同意も全部任せられる」というものです。
実際には、成年後見人等の権限には、一般に医療行為そのものへの同意権は含まれないと考えられています。
成年後見人は、医療契約の締結、医療費の支払い、医療サービスが適切に提供されているかの確認、本人の意思決定を支える場への参加などでは重要な役割を果たせます。
一方、手術そのものを本人に代わって自由に決定できる制度ではありません。
だからこそ、元気な段階から「自分はどんな医療を望むのか」を整理しておくことが重要になります。
関連記事:おひとりさまの終活は何から始める?元気なうちに準備したいこと一覧
なぜ今「身寄りのない患者」が大問題になっているのか?
この問題が今後さらに大きくなる最大の理由は、日本社会そのものが急速に「一人で暮らす社会」へ変わっているからです。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2025年の一般世帯約5727万世帯のうち、単独世帯は約2296万世帯です。
割合にすると40.1%に達します。
さらに2050年には、単独世帯の割合が44.3%まで上昇すると推計されています。
つまり、一人暮らしはもはや特殊なライフスタイルではありません。
今後は「世帯の約2軒に1軒が一人暮らし」に近づいていく可能性があります。
しかも、「身寄りがない」という言葉は、戸籍上家族が一人もいない人だけを意味するわけではありません。
親族はいるものの何十年も連絡を取っていない人もいます。
兄弟姉妹が高齢になり、保証人を頼めなくなるケースもあります。
子どもが海外や遠方に住んでいる場合もあります。
離婚や家族関係の悪化によって、事実上頼れる人がいないケースもあります。
若い独身者であっても、両親が高齢になれば立場は簡単に変わります。
「身寄り問題」は高齢者だけの問題ではなく、独身者、子どものいない夫婦、離婚経験者、家族と疎遠な人など、多くの人に関係する問題なのです。
医療システムに求められる変化

一人暮らしでは、医療だけでなく「自宅で倒れたときに誰が気付くのか」という問題もあります。
離れて暮らす親や一人暮らしの高齢者が心配な方は、見守り方法についても事前に考えておくと安心です。
関連記事:一人暮らしの高齢者を見守る方法7選|離れて暮らす家族ができる対策
SNSでも「自分はどうなる?」の声・番組が突きつけた不安
今回の「クローズアップ現代」が注目された背景には、多くの人にとってこの問題が「他人事ではない」ことがあります。
放送内容を受け、「身寄りがないと入院まで難しくなるのか」と不安を感じた人も少なくないでしょう。
また、身寄りのない人の問題は医療だけでなく、住まい、介護、財産管理、死後の手続きなどとも深く関係しています。
健康なときには、保証人や緊急連絡先の問題を意識することはほとんどありません。
しかし突然の事故や病気では、準備する時間がないまま入院する可能性があります。
その段階になって初めて「連絡できる人を書いてください」「退院時に迎えに来られる人はいますか」と聞かれ、困るケースが生じます。
逆に言えば、健康な今だからこそ準備できることは非常に多いのです。
不安だけを抱えるより、「何が必要になる可能性があるのか」を知って、一つずつ準備しておく方が現実的な対策になります。
身寄りがない人が最初に相談したい「医療ソーシャルワーカー」とは?
もし実際に入院が決まり、「保証人がいません」と伝えて困った場合、重要な相談先の一つが医療ソーシャルワーカー(MSW)です。
医療ソーシャルワーカーは、病気や入院に伴って発生する生活上・社会上の問題を支援する専門職です。
例えば、入院費への不安、退院後の生活、介護サービス、福祉制度、転院先、家族関係などについて、患者と病院、行政、地域の支援機関をつなぐ役割を担います。
「保証人がいない」と窓口で言われた場合も、単に「いません」で終わらせるのではなく、病院の相談窓口や地域連携室に医療ソーシャルワーカーがいるか確認してみることが一つの方法です。
病院側が本当に必要としているものが「保証人」という名前の人物ではなく、「緊急連絡先」「支払い方法」「退院先」など個別の機能であれば、別の方法で解決できる可能性があります。
高齢者の場合には、地域包括支援センターも重要な相談先になります。
市区町村の福祉担当窓口や社会福祉協議会につながることで、利用できる制度が見つかる可能性もあります。
判断能力が不十分な人については、成年後見制度や日常生活自立支援事業が検討される場合があります。
今まさに入院や治療で困っている人は、民間サービスを急いで契約する前に、まず病院の相談窓口や公的な相談先へ相談してください。
一人ですべて解決しようとしないことが重要です。
身元保証人がいない人が使える「終身サポート」とは?
今すぐ入院する予定はないものの、「将来自分が倒れたときに頼れる家族がいない」という人は、元気なうちに民間の終身サポートについて調べておく方法もあります。
こうしたサービスでは、事業者によって、入院や施設入居時の身元保証、日常生活の支援、財産管理、任意後見、死後事務などを組み合わせて提供しています。
ただし、「身元保証サービスを契約すれば何でも解決する」というものではありません。
サービス内容や料金、緊急時の対応範囲、預託金の管理方法、死後事務の範囲などは事業者ごとに異なります。
そのため、最初から契約を前提に考えるのではなく、まず「自分の場合、何を準備しておく必要があるのか」を確認することが大切です。
身元保証サービスの契約前に確認したいこと
| 契約前のチェックポイント | 確認したい内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 入会金・契約時費用はいくらか |
| 月額・年額 | 継続して必要な費用 |
| 預託金 | 誰がどのように管理するか |
| 入院対応 | 手続き・付き添い・緊急連絡の範囲 |
| 身元保証 | どの場面まで対応するのか |
| 日常生活支援 | 通院・買い物などに対応するか |
| 財産管理 | どこまで管理を任せるのか |
| 死後事務 | 葬儀・納骨・遺品整理などの範囲 |
| 解約 | 中途解約や返金条件 |
| 事業者停止時 | 倒産・廃業時の対応 |
| 対応地域 | 自分の住む地域で利用できるか |
複数の選択肢を比較し、分からない部分をそのままにしないことが大切です。
特に高額な契約や預託金を伴う場合は、その場で即決せず、契約書や重要事項を十分に確認しましょう。
身元保証について「自分の場合どうすればいい?」と迷っている方へ
家族や親族に身元保証を頼むのが難しく、
- 「入院や施設入居のときに誰を頼ればいいのか」
- 「認知症になった後のお金の管理が心配」
- 「亡くなった後の手続きを頼める人がいない」
といった不安がある場合は、終身サポートサービスの無料相談や資料請求を利用し、自分に必要な支援を整理する方法があります。
「おひさぽ」では、身元保証をはじめ、生活状況に応じた終身サポートについて相談できます。
いきなり契約するのではなく、まずサービス内容・費用・対応範囲を確認して比較することが大切です。
>>身元保証・終身サポート「おひさぽ」の無料相談・資料請求はこちら
さらに詳しく比較したい方はこちらも参考にしてください。
関連記事:身元保証サービスとは?料金・選び方・契約前の注意点を徹底解説
一人暮らし・独身者が元気なうちにやっておきたい7つの準備
「まだ若いから関係ない」と思う人もいるかもしれません。
しかし身寄り問題で困りやすいのは、本人に判断能力がなくなった後で初めて準備を始めようとするケースです。
健康なうちは、自分で情報を整理し、希望を伝え、人に相談できます。
最低限、次の7項目を準備しておくと安心です。
1.緊急連絡できる人を考えておく
必ずしも配偶者や子どもである必要はありません。
兄弟姉妹、親族、友人など、病院から連絡が来てもよい相手がいるのであれば、本人の了解を取ったうえで連絡先を整理しておきましょう。
2.持病・薬・アレルギーを一覧にする
救急搬送されたとき、自分で説明できるとは限りません。
服用薬、持病、アレルギー、かかりつけ病院を一枚にまとめておくだけでも役立ちます。
3.マイナ保険証や重要書類の場所を整理する
保険関係、診察券、お薬手帳、各種証明書などがどこにあるか分からない状態を避けます。
4.自分が望む医療について考える
重篤な状態になったとき、どこまでの治療を望むのかを考えておくことも重要です。
一度決めたら絶対に変更できないものではなく、状況に応じて考え直して構いません。
5.入院に使えるお金と保険を整理する
預貯金、医療保険、公的医療制度、毎月の固定費などを把握しておきましょう。
特に、「昔入った保険なので内容を覚えていない」「入院した場合に実際いくら受け取れるのか分からない」という人は、保険証券を一度確認することをおすすめします。
ただし、身元保証の問題と医療保険の問題は別です。
医療保険へ加入していても、緊急連絡や死後事務を代行してくれるわけではありません。
一方、「自分の入院費や老後資金が足りるか不安」という場合には、家計全体を整理する方法があります。
入院費・医療保険・老後資金を一度整理したい方へ
現在加入している保険について、
「何の保障が付いているか分からない」
「一人暮らしなので入院したときのお金が心配」
「老後までにどのくらい準備すればいいのか知りたい」
という場合は、ファイナンシャルプランナーに相談して家計や保障内容を整理する方法もあります。
「ほけんNaviせつやくん」では、保険や家計、ライフプランなどについてFPへ無料相談できます。
保険商品への加入を目的にするのではなく、まず現在の保障内容と不足している部分を把握するために利用するのがおすすめです。
>>保険・家計・老後資金をFPに無料相談する
※相談内容やサービス条件は最新情報をご確認ください。
入院に必要なお金を具体的に知りたい方はこちらも参考にしてください。
関連記事:一人暮らしの入院費はいくら必要?おひとりさまが準備したいお金と制度
6.地域の相談窓口を確認する
地域包括支援センター、自治体の福祉窓口、社会福祉協議会など、自分の地域で相談できる場所を確認しておきます。
将来問題が起きてから窓口を探すより、名前だけでも知っておくと安心です。
7.重要情報を一か所にまとめる
最も実践しやすい方法です。
紙でもデジタルでも構いません。
「自分が話せなくなったとき、第三者が最低限必要な情報を確認できる状態」を作っておくことがポイントです。
今日からできる「おひとりさま医療対策」

重要なのは、一人暮らしそのものをリスクと考えるのではなく、「自分の情報や希望を誰も確認できない状態」を減らしておくことです。
自分でできる備えにはエンディングノートも便利
医療、緊急連絡先、財産、葬儀などの希望を書き出すには、エンディングノートも役立ちます。
法的な遺言書とは異なりますが、「自分について何を整理すべきか分からない」という人には始めやすい方法です。

お薬手帳、診察券、保険関係の書類なども一か所にまとめておくと、急な入院時に確認しやすくなります。


自分一人では準備できない部分もある
書類整理やエンディングノートは自分で準備できます。
一方、将来の身元保証、認知症になった後の財産管理、亡くなった後の死後事務などは、自分一人だけでは完結できません。
「自分の場合、誰に何を頼めばいいのか分からない」という人は、元気なうちに情報収集だけでも始めておくと安心です。
>>おひとりさまの身元保証・終身サポートについて無料で相談する
関連記事:身寄りがない人の死後事務は誰がする?葬儀・納骨・遺品整理まで解説
「保証人がいないと入院できません」と言われたらどうする?
実際に病院で「保証人が必要です」と言われた場合、慌てて高額な民間サービスを契約する前に確認してほしいことがあります。
最初に聞きたいのは、「何のために保証人が必要なのですか?」という点です。
病院が求めているのが緊急連絡先なのか、入院費の支払い保証なのか、退院後の引き受け先なのかによって対応は変わります。
例えば、「緊急連絡先なら友人を登録できる」「費用については本人の預金や制度で対応できる」など、役割を切り分ければ解決方法が見つかる可能性があります。
次に、病院の患者相談窓口、地域連携室、医療ソーシャルワーカーへの相談を依頼します。
「身寄りがなく保証人を用意できませんが、入院に必要な役割をどうすれば代替できるか相談したい」と伝えると、単なる拒否・受け入れの二択ではなく、具体的な調整に進みやすくなります。
高齢者なら地域包括支援センターにも相談できます。
経済的問題や生活上の困難がある場合は、市区町村の福祉窓口へ相談する方法もあります。
そして、入院による治療が必要なのに「身元保証人がいないことだけ」を理由として拒否された場合には、厚生労働省の通知と相反する可能性があります。
ただし、病床が空いていない、必要な専門医療を提供できないなど、保証人とは別の事情で受け入れられない場合もあります。
そのため最初から「違法だ」と窓口で対立するより、「保証人以外の受け入れ条件は満たしているのか」「何が具体的な問題になっているのか」を確認する方が現実的です。
今まさに治療や入院が必要な人は、この場面では広告サービスよりも、病院の医療ソーシャルワーカーや行政への相談を優先してください。
成年後見制度だけでは全部解決しない理由
身寄りがない人の問題を調べていると、必ずと言っていいほど「成年後見制度」という言葉が出てきます。
成年後見制度は重要な制度ですが、万能な身元保証制度ではありません。
判断能力が不十分になった人について、財産管理や契約などを支援することが成年後見人の主要な役割です。
医療契約を結んだり、医療費を支払ったり、必要な医療サービスが提供されているか確認したりする役割は期待できます。
しかし前述した通り、手術などの医療行為そのものについて、成年後見人が本人の代わりに自由に同意できる「医療同意権」が一般的に与えられているわけではありません。
また成年後見制度は、本人が亡くなった後のすべての事務を無制限に引き受ける制度でもありません。
「入院時の保証」「医療の意思決定」「財産管理」「日常生活」「死後事務」は、それぞれ少しずつ異なる問題です。
そのため、身寄りのない人への支援では、一つの制度にすべてを背負わせるのではなく、本人の状態や必要な支援に応じて複数の仕組みを組み合わせることが重要になります。
将来の財産管理や相続まで含めて準備したい場合は、こちらも参考にしてください。
関連記事:おひとりさまの相続はどうなる?遺言・財産管理・相続手続きを分かりやすく解説
関連YouTube動画で身元保証問題をさらに理解する
文章だけではイメージしにくい人は、身元保証人を求める病院側の事情と国の方針を解説した動画も参考になります。
関連動画として、「身元保証人はいらない?国の方針と病院の『現実』を解説」という動画があります。
制度そのものについて判断する際には、厚生労働省や消費者庁などの公的情報もあわせて確認することをおすすめします。
「クローズアップ現代」が示した本当の問題は“家族ありき”の医療
今回の問題を「病院が保証人を要求するのはおかしい」という一言だけで捉えると、本質を見失います。
もちろん、厚生労働省が示している通り、必要な入院について身元保証人がいないことだけを理由に拒否することは認められていません。
しかし同時に、病院の現場では家族が担ってきた大量の仕事を誰かが引き受けなければならないという現実があります。
- 入院費をどうするのか
- 本人と連絡が取れなくなったら誰に電話するのか
- 必要な物を誰が持ってくるのか
- 本人が意思を伝えられないとき、過去の希望を誰が知っているのか
- 退院後に一人で生活できなければ、誰が支援を調整するのか
- 亡くなった場合、誰がその後を引き継ぐのか
これらはすべて、長い間「家族がやるもの」と考えられてきました。
ところが単身世帯が4割を超える社会では、その前提そのものが成り立ちにくくなっています。
つまり、患者の自己責任でも病院だけの責任でもありません。
これから必要なのは、「家族がいない人を例外扱いする医療」から、「家族がいないことも普通に想定した医療」への転換です。
そして個人側でも、元気なうちに「誰に何を頼む必要があるのか」を整理しておくことが、将来の安心につながります。
身寄りのない人の入院についてよくある質問
Q.保証人がいなくても入院できますか?
身元保証人がいないことだけを理由として、必要な入院を拒否してよいわけではありません。
ただし、実際の受け入れには病床状況や必要な医療を提供できるかなど、別の条件も関係します。
Q.病院の9割が保証人を求めているというのは本当ですか?
調査によって対象や時期は異なりますが、身元保証人等を求める病院・施設が多いことは事実です。
ただし、「保証人を求めること」と「保証人がいなければ必ず入院を断ること」は同じではありません。
Q.友人でも緊急連絡先になれますか?
病院が求める役割によって異なるため、直接病院へ確認する必要があります。
単なる緊急連絡先なのか、医療費についての保証まで求められているのかを分けて確認しましょう。
Q.成年後見人がいれば手術の同意をしてもらえますか?
一般的には、成年後見人の権限に医療行為そのものへの同意権まで含まれるとは考えられていません。
「成年後見人=家族と同じ権限をすべて持つ人」ではない点に注意が必要です。
Q.身元保証サービスを契約すれば安心ですか?
選択肢の一つではありますが、サービス範囲や料金、預託金管理、解約条件などは事業者によって異なります。
複数のサービスを比較し、「自分に必要な支援」と「契約に含まれている支援」が一致しているか確認しましょう。
>身元保証・終身サポートについて無料相談・資料請求をする
Q.まだ30代・40代ですが準備した方がいいですか?
大掛かりな終活まで始める必要はありませんが、緊急連絡先、服用薬、保険情報、かかりつけ医などを整理しておく価値はあります。
事故や急病は年齢に関係なく起こるためです。
まとめ|「身寄りがない=医療を受けられない」ではない
「クローズアップ現代」で取り上げられた単身者の医療問題は、これからの日本にとって非常に重要なテーマです。
単独世帯が4割を超える現在、身寄りのない人や、親族はいても頼れない人は決して特殊な存在ではありません。
まず知っておきたいのは、身元保証人がいないからといって、それだけで必要な入院を拒否してよいわけではないということです。
一方で、医療費、緊急連絡、退院支援、意思決定、死後対応など、家族が長年担ってきた役割を誰が代替するのかという現実的な問題は残っています。
そのため、「保証人を用意できるか」だけを考えるのではなく、自分の場合に何が不足する可能性があるのかを一つずつ整理することが大切です。
まずは緊急連絡先、持病、薬、かかりつけ医、重要書類、自分の医療に対する希望などを書き出してみましょう。
そして実際に入院や治療で困った場合には、病院の医療ソーシャルワーカー、地域包括支援センター、自治体の福祉窓口などに相談する選択肢があります。
一方、まだ元気な段階で将来の身元保証や死後事務が心配な場合は、民間サービスの資料を取り寄せ、費用や対応範囲を比較するのも一つの方法です。
あなたの不安に近い方から確認してください
「入院時の身元保証、認知症後の財産管理、死後事務を頼める人がいない」
という方はこちらです。
「入院費や医療保険、老後のお金が足りるのか心配」
という方はこちらです。
どちらも、まずは「契約すること」ではなく、現在の自分に何が足りないのかを把握することから始めるのがおすすめです。
「一人だから医療を受けられない社会」にしないためには、家族にすべてを背負わせる仕組みそのものを変えていく必要があります。
そして私たち個人にも、元気な今のうちに「もしものとき」を少しだけ準備しておくことが求められています。


