猛暑の熱中症にスポーツドリンクは逆効果!?正しい水分補給法とは?

猛暑で熱中症患者が増える中、対策としてスポーツドリンクと言われていることが本当なのかどうかに焦点を当てています。これまではっきりしていなかったことが、科学的に証明されてきたのですが、実は含まれる成分によっては逆効果にもなり得ることも分かって来ました。ただ、その発表では具体的にどのスポーツドリンクが優れているのかがはっきりしていないのです。そこで今回は、その科学的なデータから推察される定性的に優れている飲み方を提案したいと思います。
熱中症にスポーツドリンク
根拠はスポーツ選手向けがベース
これまで、熱中症対策としてスポーツドリンクなどのミネラル補給飲料 が、普通の水よりも適していると言われてきました。多くのサイトやテレビで水よりもスポーツドリンクの摂取を推奨されています。が、科学的な根拠はこれまで存在していませんでした。ちょっと信じられないなのですが、ホントのところらしい。もともと暑い外での作業では、水を補給するだけでは倒れてしまう方が多く、一緒に塩を摂ると、その対策となったため、塩分を摂ることは経験則として知られていました。
そしてプロスポーツ選手をベースに、データを積み上げて、ただの水では 身体を守れない。が合言葉となり、プロスポーツ選手がそうであれば普通 の人も同じ。汗の成分調査などからスポーツドリンクのようなミネラル補給飲料が良い。という形で広まってきたのも事実だと思います。
スポーツドリンクメーカーの思惑も強いと言われていますが、本当に一般 の人にも熱中症対策になっているのか、科学的な根拠は存在していないのが現実だと言われてきました。
ポッカサッポロフード&ビバレッジ のプレスリリース
そこに満を持して?登場したのが、ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式 会社がプレスリリースで発表した、ミネラル補給飲料=スポ ーツドリンクと熱中症対策についての結果です。
やっと熱中症に対して、スポーツドリンクが適しているということが、科学的に証明されたのですが、なんと水と比較されているミネラル補給飲料は最適化されたミネラル成分を用いたものになっています。すなわち販売されているスポーツドリンクではない可能性が高い。そして各成分を増減させたデータには普通の水を飲むよりも悪化する ことがはっきりと示されています。要約するとプレスリリースで発表されていることは、大きく4点。
- 熱中症対策に特化したミネラル補給飲料は水に対して有効性がある
- ミネラル成分を増減させると、さらに適した飲料ができる。言い換えると水よりも悪いミネラル飲料も存在する
- 暑くないときは体調によっては水の方が良好
- データは人間ではなくラットであり、事前に一週間与えた後の評価である。飲んで即効果があったというものとは異なる
すでにテレビなどではスポーツドリンクを推奨されている方が多く存在 していますが、飲み方に適した考え方をしたいところ。
成分割合が異なる各種スポーツドリンク
スポーツドリンクの成分を確認
スポーツドリンクと言っても、色々なものが発売されています。下表に示すのは、ほんの少しですが含まれている成分の割合は倍半分の差があるものもありますし、実際はどのくらいが必要なのかは難しいところです。
今回、成分表示しているのはポッカがミネラル成分のパラメータとしてNa,K,Ca,Mg増減による効果を検証しているからです。ちなみに、今回のプレスリリースで発表しているポッカは名前から塩のNa(ナトリウム)成分が多いことが特徴になっています。
そして、医療関係者がおすすめする、ORS(経口補水液:水1Lに砂糖
40g、塩3g)のOS-1はNa(ナトリウム)が非常に多い。飲んでみるとかなり塩っぽく感じるかも知れません。
ミネラル成分の働き
Na,K,Ca,Mgが体内でどのような働きをしているのか下記しておきます。
Naナトリウム
体内ではナトリウムが正常な状態になるように調整されているのですが、激しい運動などによる発汗が行われ、水分だけ取ると血液が薄められてしまい、筋肉からナトリウムが奪われ、筋肉の膨張、痛み、熱けいれんなどを引き起こす可能性がある。
Kカリウム
カリウムはナトリウムやカルシウムと共に、神経や筋肉の機能の正常化、血圧を下げる作用もあると言われています。カリウム不足により、むくみ・神経過敏・吐き気・心不全・高血圧など現れる危険性がある。
Caカルシウム
一般的に知られているのが骨や歯の形成・維持。お肌の健康、関節炎や骨粗鬆症の予防にも適していると言われています。カルシウムが不足する
と骨中のカルシウムが血液や筋肉に奪われ、歯や骨の形成障害、虫歯・関節痛・骨軟化症・骨折・骨粗鬆症、さらには、腰痛や手足の痙攣なども発生すると言われています。
Mgマグネシウム
多くの酵素の活性化を促し、カルシウムを補助することで心拍機能を正常に働かせたり、体温の調整、カルシウムやカリウムなどの吸収と代謝を援助しているようです。摂取過剰で、腎機能に障害が起こり、逆に少ないと、筋肉が震えたり、手足の痺れを感じたりすることもあるようです。
水とミネラル補給飲料による比較
実験による予防効果の結果
熱中症の予防として、臓器(心臓)の熱耐性と障害の度合いを確認する評
価を、4種類でおこなっています。ただし、水との比較をしているミネラル補給飲料は、熱中症対策として最適化されたものを利用しているようです。先ほど示したスポーツドリンクのどれに相当する、もしくは近いのかは全く不明なので、イメージとして捉えたい。
(A)熱ストレスタンパクの一つである「Hspa4」
熱ストレスなので、少ないほどストレスが少ない=耐性が高い。常温よりも高温下で水、ミネラル補給飲料(図ではミネラル飲料)とも熱ストレスは増加するが、高温下では水よりもミネラル飲料の方が少ない⇒高温下の猛暑では、ミネラル飲料の方がストレスを受けない。
(B)心筋梗塞や心不全の予後を予測するBNPの遺伝子「Nppb」
遺伝子「Nppb」が少ないほど心筋梗塞や心不全の発生が少ない。常温下でも高温下でも水よりミネラル飲料の方が少ない。⇒常温でも高温も、ミネラル飲料の方が心不全など発生が少ない。
(C)心筋梗塞や冠攣縮性狭心症で増加する遺伝子「Edn1」
遺伝子「Edn1」が少ないほど血管損傷が軽減する。高温下で水よりミネラル補給飲料(図ではミネラル飲料)は軽減。⇒高温下の猛暑では、ミネラル飲料の方がス血管損傷が軽減。
(D)心臓の機能低下を示唆する遺伝子「Pln」
遺伝子「Pln」が少ないほど心臓の機能低下を防止できる。高温下で水よりミネラル補給飲料(図ではミネラル飲料)は軽減。ただし、常温下では微増している。⇒高温下の猛暑では、ミネラル飲料の方が心臓機能低下が少ない。ただし、常温では少し水よりも悪化する。
(A)から(D)の結果から
- ミネラル補給飲料の最適化されたものは、水よりも熱中症予防に効果が高い。
- ただし、常温下では良好な点と少し悪化する点もある。従って真夏でないときは、水の方が良い場合もある。
ミネラル成分Na,K,Ca,Mgの増減による傾向
ポッカのプレスリリースを引用し、一部追記した形で下図します。
上図からわかることは、
- 水よりもミネラル補給飲料は約3割程度良好
- (a)Naの最適な範囲は小さい、ただし増減でも水よりは悪化しない
- (b) K , C a , M g は量が少ない方が良い⇒薄めたほうが良い
- (c)M g は増量すると非常に危険
問題はミネラル補給飲料が、どれに相当しているかになります。が、この資料では記載がありません。でも、ポッカが発表している資料ということを考えると、例えば他社のポカリスエットなどが利用されているとは考えられない。濃度を比較した下表から考えると、Naはそこそこ入っていて、Mgが少ないポカリスエットが最適に思えてきますが、ちょっと糖分が多い。
まとめ
そこで下記を提案したい。
ミネラル成分の中で、Na以外の成分は少ない方が良好
ミネラル補給飲料=スポーツドリンクを倍程度に薄めて飲む
よくスポーツ選手は、スポーツドリンクを半分程度に薄めて飲むと言われていますが、非常に最適な飲み方になっているのではないでしょうか。これは、糖分の摂り過ぎからきているのかもしれませんが、熱中症予防にも最適な方法だと言えそうです。