生活習慣病の予防の5つのポイントは意外に難しい!?

日本は現在、世界でも屈指の長寿国です。 世の中全体の技術の進歩、とくに医学界の著しい進歩によって、人間の寿命は驚く ほど延びたわけです。 また、それだけではありません。公衆衛生の向上・拡充、保険制度の整備による医 療の普及、また日本人の生活水準そのものが向上したことも一因といえます。 しかしその反面、すべてにおいて進歩・向上したことが、新たな弊害を生んでい ることも事実です。 それは、現在の死亡原因、または主要疾患の総患者数をみると、その一端がわかり ます。 現在の死亡原因は、第1位がガン、第2位が心疾患、第3位が脳血管疾患となって います。

 

①自身の体の状態を知る

定期検診をバロメーターに

さて、一次予防が叫ばれているとはいえ、早期発見のためにも、つねに自分の体の状態を知っておくことはたいせつです。勤務先での定期検診、公的機関による健康診断、また、任意での人間ドックを受けるのもいいでしょう。それぞれの検査項目の数値は健康のバロメーターとして、また病気の早期発見のためにも重要ですが、その結果によって生活習慣のどのような点を改善すべきかということも参考になります。

人間ドックのおもな検査項目のなかで、生活習慣病全般に関して注目したい項目は、肥満度、体脂肪率、血圧、血糖値、コレステロール値などです。たとえば、肥満や体脂肪率が高い場合には糖尿病や高血圧、心疾患を起こしやすく、また高血糖では糖尿病と診断されます。糖尿病は他の生活習慣病への引き金になる病気でもあります。

これらはカロリーコントロールや食事制限、運動によって改善していく必要 があります。高血圧や高コレステロール血症も同様に複数の生活習慣病を起こす原因になります。

家庭ではかれる簡易測定器を活用する

最近では家庭用として、血圧測定器や体脂肪計が普及していますので、これらを購入し、家庭で定期的に簡単にチェックすることもできます。また肥満は生活習慣病といわれるすべての疾患の原因となるものです。体重だけでなく、健康を維持するために適正値を維持したいところです。ただ、ふとらなければいいという問題ではなく、逆にやせすぎで糖尿病をま ねくこともあります。

 

②食生活の改善

インスタント食品、外食の便利さも要注意

生活習慣病の予防、または改善のために注意したい食生活の大きなポイントは

  1. 摂取カロリーのコントロール
  2. 栄養バランスのコントロール
  3. 適切な食習慣の定着

です。日常の食生活においては食べたいものを食べることができる環境がととの い、また手軽なインスタント食品の普及や外食の利用の増加などで、知らない うちに意外とカロリーが高いものを摂取していたり、塩分や糖分を必要以上 にとっていたりということがあります。これもまた、生活習慣病の発症に拍車をかける要素になっています。前述のポイントをきちんと理解し、日々の食生活に生かしましょう。

食生活が豊かになっているとはいわれていますが、「国民栄養調査」によると、ここ20年ほどの摂取カロリーは1978年の2,167kcalから1999年の 1,967kcal へ減少しています。これには、肥満が生活習慣病の原因になることを理解するなど、日本人全体の健康に対する意識が向上しているためといえるでしょう。

しかし、身体状況や健康状態には個人差があります。それぞれに適した摂取 カロリーを計算し、それに適した食事を心がけることがたいせつです。

自分にとっての1日の必要摂取カロリーを知る

1日の必要摂取カロリーは、前述のとおり個人の状態によって異なり、身長、体重、年齢、性別、労働量(運動量)などによって決定できます。以下を参考 に、それぞれの摂取カロリーを計算してみましょう。

適正エネルギーの簡易算出法

適正エネルギー量(kcal)=生活活動強度指数×標準体重(kg) 標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

日本人に不足している栄養素はカルシウムだけ

最近では、健康を維持するために各栄養素をバランスよく摂取しようという 意識をもっている人がふえてきました。そのせいか、「国民栄養調査」から判断すると、所要量に満たな いのはカルシウムだけです。牛乳や乳製品、豆類などを積極的に摂取して、所要量を維持できるようにし ましょう。

ただ、この20年の間には、脂質エネルギーの摂取量が全体の摂取エネルギーの22.7%から 26.5%に増加しています。本来ならば、この数値を全体の摂取エネルギーの25%程度に抑えるのが理想です。もちろん、体に必要な栄養素ではありますが、とりすぎると高脂血症や心疾患の原因になります。

“このくらいならだいじょうぶ”と思っていると、その積み重ねによってどんどん蓄積されてしまいます。脂質の摂取については、“ちょっと少なめかな?”と思われる程度で摂取すると、ちょうどいいかもしれません。

塩分は1日に10g以下に抑える

栄養素とは別に気をつけたいのが調味料です。生活習慣病を予防する塩や砂糖については、これもまた近年、意識が向上している傾向にあります が、実際は知らず知らずのうちにとりすぎているというのが現実です。家庭の調理で薄味を心がけていても、じつは加工品に塩分や糖分が多く含ま れていることがあります。

塩分は1日に10g以下を目標に、とりすぎに気をつけましょう。また、糖分は糖質として、穀類やイモ類にも含まれ、合計して200~300gが1日の摂取の目安です。そこに、コーヒーに砂糖を入れたり、菓子やくだものをたくさん食べると、摂 取過剰になってしまいます。

これもまた、摂取する糖質の量をコントロールしましょう。 ただし、それぞれの生活習慣病における食事療法では、これ以上に注意が必要です。それぞれの生活習慣病の項目を参考にしてください。

摂取エネルギーを夜に集中させない

人間には生活のリズムがあるのと同様に、体内でもそれにともなって代謝のリズムがあります。 このリズムをくずしてしまうと、ふとりやすい体質になってしまい、それが生活習慣病の原因になってしまうこともあります。食習慣で注意したいことは、1日3食、適切な時間にとること、3食の摂取エ ネルギーの配分を夜に集中させないこと、よくかんで、時間をかけて食べるこ と。仕事や家事などで忙しくても、きちんとした食生活を習慣化させることがたいせつです。

 

③運動習慣

運動の生活習慣病へのさまざまな効用

人間が生きていくうえで、適度な運動をすることは次のような効果がありま す。

  • エネルギーを消費させ、体重をコントロールする
  • 基礎代謝を促進する
  • 脂肪合成を抑制する
  • インスリンの作用を促進する
  • 中性脂肪を低下させる
  • 心肺機能を強くし、筋力や体力を維持する
  • 精神面をリフレッシュする

このような効果は生活習慣病の要因を改善すると同時に、習慣的な運動が死亡率を低下させているという調査もあるほどです。つまり適度な運動は、生活習慣病を予防するとともに、改善には欠かせない、たいせつな要素であるということです。

年齢、体調に合わせた強度で

しかし逆に、はげしい運動は筋肉や関節、循環器系などに負担をかけ、悪影響をおよぼすこともあります。年齢や体の状態を考慮して運動内容を決めることもたいせつです。また、摂取カロリーと同様に蓄積されたエネルギーを消費することも考えなければいけません。ふつうに生活をしていれば、ある程度のエネルギーは消費されますが、運動によって消費したいエネルギー量は、1日150kcal、1週間で1050kcalが目安です。

有酸素運動を習慣的に行おう

運動の方法としては、酸素を取り入れながら脂肪を燃焼させ、蓄積されたエ ネルギーを消費していく有酸素運動が有効で、中程度の運動レベル、たとえばウォーキングや軽いジョギング、水泳やエアロビクスなどが効果的です。そして、これらを1日20~30分、毎日できなくても、定期的または習慣的に行 うことがポイントです。

ちょっとしたくふうで日常の運動量をふやす

また、日常生活のなかで簡単にできるくふうも必要です。たとえば、通勤時に歩く距離を多くする、家庭でテレビを見ながらでもできる 踏み台を使った運動をする、歩くには少し遠い距離なら自転車を利用するなど、ちょっとした気配りで運動量が確保できます。ただし、くれぐれも無理をしないでください。マイペースが継続させるポイン トです。以上のことを考慮し、自分なりに楽しみながらできる運動を考えましょう。

 

④睡眠

規則正しい睡眠習慣で健康増進

運動と同様に体を休めること、とくに睡眠はたいせつです。睡眠は体を正常に機能させるための自律神経(じりつしんけい)のバランスを保ち、また睡眠不足は体の免疫力を低下させてしまいます。このことは生活習慣病を引き起こす直接的な要因にはなりませんが、そのほかの要因を助長させてしまうことにつながります。

ただし、睡眠中に虚血性心疾患や脳卒中で突然死をまねくことがあります。これは睡眠時無呼吸症候群(ふつう、1時間の睡眠中に、10秒以上の無呼吸状態が5回以上現れるときに疑われる)という、睡眠中、一時的に呼吸が停止する状態におちいるために起こるものです。

死にいたることはなくても、高血圧や不整脈(ふせいみゃく)を引き起こすこと もあります。とくに肥満の人に無呼吸症候群が多くみられます。最初はいびきをかき、しだいに無呼吸状態になります。肥満を解消することもたいせつですが、空気の通り道を確保するために、横向きで眠ると無呼吸を防ぐことができます。

また、睡眠も食習慣と同様に規則正しいことを心がける必要があります。現代人の日常生活では、なかなか決まった時間に眠りにつくのがむずかしか ったり、就寝直前までなにかをしていると、気持ちが高ぶっていて眠れないこ とがあります。入浴やあたたかい飲みものの摂取、読書など、またBGMやアロマテラピー などで眠りやすい環境をつくるくふうをするのもいいでしょう。

いろいろなストレス解消法

  • 楽しい食事 気の合う友人やリラックスできる家族と食卓を囲む。少量のお 酒もよい
  • おふろに入る、ぬるめの湯にゆっくりつかる
  • スポーツ 軽く汗を流し、全身に心地よい疲労感をもたらすと心も自然に リラックスする
  • 自分ひとりの時間をもつ、自分と静かに向き合うことで心をリフレッシュさ せる
  • 音楽や香りに身をまかせる、気持ちを落ちつかせるような音楽、香りを見つけておくとよい
  • 笑うこと

 

⑤嗜好品とストレス

健康的なストレスの発散方法を見つけよう

タバコやアルコールは仕事や家事などの日常の生活で感じるストレスを緩和します。とくにアルコールは人間関係を円満にする潤滑油という面もあります。しかし、これらがけっして体や心によいばかりではありません。喫煙者のがんをはじめとした疾患の発生率をみても、喫煙者は非喫煙者より、かなり多いことがわかります。

「酒は百薬の長」とは昔からいわれていますが、これは適度なアルコール摂取のことを意味しています。大量のアルコール摂取は、肝機能の障害や疾病(しっぺい)をまねくだけでなく、肥満の原因となり、また脳血管障害を引き起こす原因になることもあります。アルコール摂取においては、自分の適量を把握し、体をいたわりながら飲むことがたいせつです。

適正飲酒10か条

アルコールは飲まないに越したことはありませんが、もし飲むなら、この適正10か条をまもってください。

  1. 笑いながら共に楽しく飲む
  2. 自分のペースでゆっくりと
  3. 食べながら飲む習慣を
  4. 自分の適量にとどめる
  5. 週に 2 日は休肝日を
  6. 他人に無理強いをしない
  7. 薬といっしょには飲まない
  8. 強いアルコール飲料は薄める
  9. 遅くても夜 12 時には切り上げる
  10. 肝臓などの定期検診を受ける

また、就寝前の飲酒は利尿作用(りにょうさよう)や浅い眠りを誘発し、深い眠りをさまたげるおそれがあるので、ひかえめにしましょう。喫煙や飲酒でストレスを発散するのもいいでしょう。しかし、健康的な発散方法とはいえません。ストレスはその原因に個人差があるように発散方法も人それぞれです。入浴や外出、趣味やスポーツなど、より健康的で自分に適した発散方法を探すことがたいせつです。

 

最後に・・・

生活習慣病を予防することは、将来健康な生活を過ごし、長生きすることができます。毎日の習慣を少し意識して変えることで病気の予防ができるのです。がんばって実行してみませんか? 少しの努力で継続することができるのです。

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